厚生労働省は2007年3月、重度の認知症患者などを世話し、介護事業で指導的役割を担える介護福祉士の上級資格として「専門介護福祉士」(仮称)制度を創設する方針を固めました。
この方針に基づき、近く有識者会議を設置し、2007年度中にも制度の具体的な内容を決定することになっています。「仕事がきつく、給料が安い」とされる介護福祉士は人手不足が深刻化しているため、新制度創設により、待遇改善などにつなげたいという考えかと思われます。この上級介護福祉士という新たな資格は、一定の実務経験や、新たな研修の履修などを要件とする方向です。また、「認知症ケア」「事業の運営管理」など、介護の専門分野に応じた複数の資格とする方向で検討がされています。
介護福祉士は1988年に始まった国家資格です。2006年10月末現在で約54万8000人がこの資格を取得しています。介護福祉士の主な役割は「入浴、排せつ、食事」の身体介護ですが、現在は、認知症や障害者へのケアなど、介護ニーズが多様化しています。そうした多様化したニーズに、より専門性の高いサービスを提供するために、上級資格として専門介護福祉士を設けよう、というのです。2005年の厚生労働省の調査によると、施設で働く介護福祉士の平均年収は、全労働者平均を大きく下回る一方で、離職率は全労働者平均を上回っているようです。こうした結果も踏まえ、この新制度により、介護福祉士のキャリアアップを可能にし、やりがいを感じさせて、給与水準を向上させようとのもくろみもあるようです。
2007年3月に国会に上程された法改正案によると、介護福祉士の資格を取得するには、どのような手段であっても、平成25年1月実施の試験から全員が国家試験を受験する仕組みに変わるとされています。准介護福祉士というのは、2年以上の介護福祉士養成施設を卒業後、介護福祉士の国家試験を受験しなかった人、あるいは国家試験を受験したものの不合格となった人が「准介護福祉士」として登録することによって、「当分の間」、名乗れる資格のことなのです。准介護福祉士は、介護福祉士資格の取得に向けて努力をするということが法律上規定されています。
ただし、准介護福祉士は介護保険制度上の位置づけはまったく未定です。介護職員基礎研修修了者より上位になるのか、新しく始まった介護職員基礎研修修了者も資格要件として含まれているサービス提供責任者に、准介護福祉士も資格要件として含まれるようになるのか、また介護報酬上の配慮はあるのかなどについては、法改正案が可決成立してから検討されることになっているようです。改正案に盛り込まれている介護福祉士の新しい取得制度では、2年以上の養成施設のカリキュラムも変更になり、修了までの時間数は、現行の1650時間以上から1800時間以上になります。准介護福祉士を名乗れるのは、1800時間以上の課程を修了した者ということになります。
また、新制度では、実務経験ルート、福祉系高校ルートで国家試験を受けた人は、不合格になっても「准介護福祉士」を名乗ることはできません。准介護福祉士とは、あくまでも、2年以上の養成施設ルートの人だけが名乗ることのできる資格なのです。介護福祉士とは、高齢者や障害者の介護を行ったり、家族などの介護者に指導や助言をする人の国家資格です。この資格はホームヘルパーなどの資質向上のために、1987年の社会福祉士及び介護福祉士法制定と同時に誕生しました。
介護福祉士になるには、3年以上の介護実務を経験した(または同等以上の能力を持つ)後に国家試験に合格しなければなりません。介護福祉士国家試験の筆記試験は、午前と午後に分かれ、以下の13科目にわたって行われます。
①社会福祉概論②老人福祉論
③障害者福祉論④リハビリテーション論
⑤社会福祉援助技術(演習を含む)⑥レクリエーション活動援助法
⑦老人・障害者の心理⑧家政学概論
⑨医学一般⑩精神保健
⑪介護概論⑫介護技術
⑬形態別介護技術介護福祉士の国家試験では、上記の筆記試験に合格したものだけが実技試験を受けられます。
実技試験では、問題の設定に従って、試験官の前で実際にモデルに対して介助の動作を行います。第14回の試験からは、利用者の安全・安楽を脅かすような行動をとった場合、試験中止になります。このように、実技試験の合格基準は厳しくなってきているようです。また第18回からは、実技試験を受けるか、介護技術講習を受けるか選択できるようになりました。
また国から指定を受けた介護福祉士養成施設で専門教育を受けて卒業した場合は国家試験が免除されます。すなわち、養成校を卒業すれば、介護福祉士国家試験を受けずして介護福祉士となることができるというわけです。社団法人日本介護福祉士会は、全国の介護福祉士のネットワークを通じて心豊かな福祉社会を実現することを目指して活動しています。 介護福祉士会では「介護福祉士の職業倫理の向上、介護に関する専門的教育及び研究を通して、その専門性を高め、介護福祉士の資質の向上と介護に関する知識、技術の普及を図り、国民の福祉の増進に寄与する」ことをその目的として、平成6年2月12日に設立されました。
日本介護福祉士会の事業内容は以下の通り。・制度・政策検討委員会
・研修委員会・全国研究大会(年1回)
・ブロック研修会・セミナー及びリーダー研修
・国家試験対策及び介護支援専門員実務研修受講試験対策・広報・事業委員会
・日本介護福祉士会ニュースの発行(隔月)・全国一斉介護相談(9月第2週)
・専門誌「介護福祉士」の発行・調査・研究委員会
・介護福祉士の就労実態と専門性の意識等、他・組織強化委員会
・各支部の会員拡大と組織の育成、強化の推進・その他専門委員会
日本介護福祉士会の会員になることができるのは、介護福祉士の有資格者で、本会の目的・趣旨に賛同し、会費(入会金5000円と年会費3000円)を納入した人のみです。日本介護福祉士会は介護の専門家として各方面での活動を支援しています。たとえば各種団体主催の講座等へ講師を派遣したりしていますし、全国研究大会やケアマネジャー養成研修なども主催していますので、会員の人は仲間とともに学んだり情報交換をする機会を得ることもできます。